※説明のない後天にょたシーザーかつ著しいキャラ崩壊、妊娠ネタ/表現を含みます
※閲覧は自己責任で
ジーン・ソーダ
「……ジョジョ、すまないがわかるように説明してくれ」
「だからァ、難しーことはわかんねェけどシーザーは女の子になっちゃったの。見りゃわかるだろ?」
明快に言われてシーザーは頭を抱えた。エア・サプレーナ島で一番広い部屋の一番大きいベッドの上、ジョセフと向き合って座ったところである。鏡はないので顔は見えないが、視界に入る自分の手や足は覚えているよりもはるかに細い。なにより胸元に手を当てれば男ではありえない感触が返ってきて、頭の固いシーザーといえど認めざるを得なかった。――今、自分の体は女になっている。
そもそもこの瞬間より前の記憶がおぼろだ。さきほど、午後の修行を終えて部屋に戻るまではシーザーはまぎれもなく男であったはずだが、それから何が起こったのか彼の、いや彼女の記憶にはない。初めて見るかのように自分の体を眺め回すシーザーは、伸びてきたジョセフの腕に身をすくませた。
女性のラインを成す体を検分する前に簡単に押し倒されてシーザーはもがいた。シーザーの体が劇的に変化したというのにジョセフは相変わらずの巨体で、彼女の白い腕ではとうてい抵抗できない。「ジョジョ、どけ!」と怒声を上げたシーザーは自分の声すら高く弱いものになっていることに気づいて今さらのように不安を抱く。圧しかかるこの男は何をするつもりなのだろうか、思わず体がこわばった。
「んなこと言われても、リサリサの言いつけだし」
「先生、の?」
「そ。波紋の素質は遺伝する、強力な波紋使いの血を残すために二人で子作りしろって言ってたろ」
「子作り……!?」
あまりにもあっさりと言われた言葉にシーザーの淡い瞳が限界まで見開かれる。呼吸矯正マスクがジョセフの顔から姿を消しているのも、リサリサ直々の許しがあったのだと考えれば辻褄が合った。
言われた途端に暴れだす体を体重の移動だけで簡単に封じ込めたジョセフは「はーい暴れないでねェン」と子どもに対するように言った。そのまま無遠慮に胸を掴まれてシーザーの喉が引きつる。耐えかねて、加減なくその腕を殴ってもジョセフにはこたえた様子もなかった。
「ほんとに女の子じゃん、これも波紋の力ってやつ?」
「ふざけ……んなわけ、っつぅ!」
「原因とかどうでもいいんだけどさァ。シーザーちゃんおっぱい大きいねー」
ジョセフの無骨な手にぐにぐにと揉みしだかれてシーザーの乳房は形を変える。服の上からとはいえ力加減を知らないようなその動きに彼の経験の少なさがうかがえて、どこか安堵している自分に気づいた。女性の急所とも言える部分に乱暴に触れられ、シーザーの呼気は痛みに引きつれるがジョセフに慮る様子はない。内心の葛藤と戦いながら彼女が絞り出した声はひどく頼りなく響いた。
「……ジョジョ、もっと……優しく」
言ってからシーザーの頬は羞恥に染まる。これではまるで女性そのものだ、毎日のように修行を共にする弟弟子にそんなことを懇願するときが来るとは思いもしなかった。恥ずかしそうに言って腕で顔を隠してしまうシーザーにジョセフはにやりと口角を上げ、言われたとおりにその動きをソフトなものに変える。手のひらで全体を覆い、優しく力を加えて揺さぶる。その動きの合間に指の腹で頂点をこすられ、シーザーの呼吸は痛みではない感覚のために途切れ途切れになった。
「こういうのがお好みなわけ、お姫様」
「な、に言って……」
「だって、もう立ってるぜ?」
ジョセフが揶揄するとおり、彼に刺激されてシーザーの胸はツンと尖っていた。布越しでもはっきりわかるほどに形を変えたそこを指先で引っかかれてシーザーは身悶える。男のときはただの飾りであったところがまぎれもない性感帯となって彼女の理性をひたし、初めて知る感覚にシーザーの頭は混乱した。触れるか触れないかの刺激だけで性感が腰に重く溜まっていくのを感じる。彼女の腕から力が抜けたのを見計らい、ジョセフは肌を隔てるシャツを首もとまでまくり上げた。
「ひ……!」
「おー、やっぱ綺麗なピンクだな」
シーザーの胸に遠慮のない視線を落としたジョセフが呟く。肌を晒された羞恥にシーザーは彼の頭を掴んで抵抗するが、「うるせえな」の一言で両腕が頭上でまとめて拘束されてしまう。彼女の両手首を掴むのはジョセフの左腕一本で、そんなことにも体格差を思い知ってシーザーはさっと血の気が引くのを感じた。昨日までの自分ならたとえジョセフに襲われたところで殴り返せた、だが今は体格も力も違いすぎて抵抗もろくにできない。不意に感じた恐怖に震えたシーザーは、乳房をべろりと舐め上げられて思わず声を上げた。
「ひぁ! ……ッ!」
気の抜けた声が出たことを恥じて唇を噛むシーザーをジョセフが上目遣いで見つめる。やわらかな丘を舌でなぞり、乳頭を吸い上げる動きに耐え切れずシーザーの頭が揺れた。子どものように吸い付いてから、唾液で濡れ光る先端を今度は指でなぶる。刺激を与えられる度に反応するシーザーをじっと見つめながらジョセフは口を開いた。
「なあ、これ気持ちいいの?」
「ぁ……に、言って」
「だってわかんねえんだもん。教えてよ、気持ちいい?」
言ってピンと指で弾かれ、シーザーは思わず息を詰める。今さらわからないとはどういうことだ、と言ってやりたい気もするが、ジョセフに経験が薄いのは先ほどの愛撫の様子からもうかがえた。なにより「気持ちいい?」と見上げる彼の瞳にほだされ、シーザーは震える唇を開く。ほとんど呼気のような音量で呟かれた言葉はジョセフの耳に届いたらしく、唇が弧を描くのが見えた。
一瞬後悔を感じたシーザーがなにか言うよりも早く、じゅるると濡れた音とともに唾液ごと吸い上げられてどうしようもなく喘いだ。舌先でつつかれ、空いた方を指で押し潰されて勝手に腰が跳ねる。二本の指ですりつぶすように刺激されて高い悲鳴が響いた。
「やぁっ、ひン!」
「な、気持ちいい?」
「あ、は……聞くな、ぁ!」
「教えろって」
「ふぁ、ンぅ……きもちい、気持ちいいから!」
見つめられていることを感じながらうわごとのように答えて、シーザーは体の内側で何かががらがらと崩れていくのを感じる。それはプライドであったり、男である自意識だったりしたのだろう。その一線を越えてしまえばあとはなし崩しで、与えられる刺激に問われるまま気持ちいい、気持ちいいと繰り返す。ジョセフの器用な指先がもたらすのは間違いなく快感で、初めて知るその味に彼女は理性が溶け出していくのを感じた。
「あっ……ひ、やだ、痛ぁっ……」
「いやじゃないって。シーザーはちょっと痛いくらいが好きなんだろ、わかってんだぜ」
乳首をつままれたままつり上げられてシーザーの目は涙を浮かべるが、懇願の言葉は笑み混じりの声に却下される。実のところ、痛いくらいが感じるというのはジョセフの見抜いたとおりで、今も彼女は痛みと同時にそれを上回る快感を覚えていた。言葉だけの抵抗が見透かされていては拒絶を口にしたところで意味はなく、シーザーがどんなにいやいやと繰り返してもジョセフが愛撫の手を止めることはない。両の腕は拘束されたままで、抵抗するすべを失ったことに恐怖を覚えながらシーザーは彼の下で喘ぎ声を漏らすしかできなかった。
「シーザー、腰揺れてんぜ」
「う、ぁ……うそ、だ」
ジョセフのからかうような言葉を咄嗟に否定したが、胸ばかりいじられて溜まった熱の発散を求め、腰が動いてしまっているのは否定できなかった。涙に滲んだシーザーの視界の中でジョセフは目を細め、「腰あげて」と端的に言う。その言葉が意味するところを理解しながら彼女は逆らえなかった。
見覚えのあるボトムがゆっくりと下ろされて、自分の白い太ももが目に入る。ちゃんと女性ものの下着を身に着けていることにシーザーはいつの間に、と疑問を抱くが、考える間もなくその小さな布地の上から触られて思考が吹き飛んだ。
繊細なレースで縁取りされた下着はすっかり濡れているのが肌の感触からわかり、顔が熱くなる。追い打ちをかけるように、布越しに刺激を与えるジョセフが「もうぐっしょぐしょ。濡れて色変わってる」と嬉しそうに言うから思わず顔をそむけた。途端に指先をぐいと押し込まれて呼吸が跳ねる。彼が指を動かす度にかすかな水音が響きシーザーの羞恥を煽った。
「……っぅ、ひぃっ!?」
「すげ、熱いな」
不意に訪れた強烈な刺激にシーザーの背がしなる。下着をずらしてジョセフの指が侵入したのだと理解したのは一瞬ののちだった。体内を侵食される感覚に彼女の体が震える。女の体はこんな風に感じるのか、とシーザーの思考はほとんど悲鳴を上げた。駆け上がるような男の快感とは違う、内側からむしばむような熱を初めて知る。こんなにも彼女を乱すのがジョセフの指一本だというのが信じられなかった。
「やらしー音してんの、わかる?」
問われてシーザーはこくこくと首を動かした。言われるまでもなく、直接に濡れたところをかきまわされ、露骨な水音が彼女の耳を犯す。おもちゃを見つけた子どものような無邪気さでまさぐられて、あふれる高い声を抑えるためにシーザーは自分の口を手のひらで覆った。
指先だけで面白いように跳ねるシーザーの体を見下ろしていたジョセフは埋めていた指を不意に引き抜く。途端に糸が切れたように全身から力を抜くシーザーは体に生まれた物足りなさをはっきりと感じていた。
黒い下着に指がかけられ、今度は何も言わないまま彼女は腰を浮かせる。すでに手首の戒めは解かれていたが、体にくすぶる熱が抵抗する気力を奪っていた。
ひどく緩慢な動きで布地が引き下ろされ、内ももに触れるわずかな感触にもシーザーは身悶えた。「糸引いてる」とジョセフが漏らした呟きに耐えられない羞恥がこみ上げる。
下肢を覆うものがなにもなくなり、素肌に触れるシーツの感触に思わず膝を立てるが、すぐにジョセフの両手に割り開かれて情けない声が出た。まじまじと見下ろされる視線に耐え切れず枕を引き寄せて顔を埋める。両足の間にジョセフの大きな体が割り込んできては恥じらうこともできなかった。
「へー、ここってこうなってんだ」
「ひっ! やぁっ、触ん……ああ! 拡げな……ぅ、くっ」
一番敏感なところを遠慮なくいじられて、上げようとした文句は掠れ声にまぎれる。二本の指を差し込まれ、内壁を拡げる動きにぞわぞわと悪寒が走った。体の内側を見られている感覚にまた熱が灯り、ジョセフが触れるそこが潤っていくのがわかる。湧いてくる粘液が肌を伝い、シーツを濡らしていくようだった。
「なァんかどんどんあふれてくるんだけどォ?」
「や……んぁ、誰の、せいだと……ひぃっ!」
「なーに、おれのせいなわけ」
「あぁっ、や……お前じゃなきゃ、こんな、濡れな、ぁ」
増やした指で好きにかきまわされシーザーの意識は切れ切れにとろけていく。それでも自分が口にした言葉の意味はわかって、別の羞恥に体温が上がった。お前じゃなきゃ濡れないなんて、まるで殺し文句のような。
ずるりと指が引きぬかれて思わず腰が揺れる。どろどろに濡れた三本の指を開けば粘ついた糸が引いて、欲情している事実を見せつけられてシーザーは知らず唇を噛んだ。
「シーザーちゃんがこんなに濡れてるの、おれのせいなんだ?」
「っ、ちが……」
「ふーん、それじゃ他の男の前でもこうなっちゃうわけ」
「う……」
逃げ場を失ってシーザーの瞳には涙が宿る。それを掬うように舐められて目を瞠った。とっさに振り向けばそのまま唇が重なり、初めて知るジョセフのキスを目を閉じて受け止める。舌が絡む水音に連想して、シーザーの体は際限なく熱くなった。
シニョリーナと交わすキスならお手のものなはずなのに、体が変化しているせいか、うまく息もできず体温ばかりが上がっていく。キスだけでこんなに感じている自分に小さくない驚きを覚えた。
快感に腰が砕けてぐったりと力を抜くシーザーにジョセフは薄く笑って、一度体を離しサイドテーブルに手をのばす。小さなガラス瓶を目の前で振られてシーザーはまばたきした。ジョセフの人差し指ほどの大きさしかないそれは液体で満たされ冷たく光っている。
彼女が疑問を口に出す前に、蓋を開けたジョセフが一気に瓶の中身を呷った。驚く間もなく唇が重ねられ、抵抗を忘れて開いたシーザーの唇に冷たい液体が流れこむ。
あおのいて口をふさがれている状態では飲み下すしかできず、むせ返りそうになりながらやっとの思いで飲み込んだ。嚥下する動きに満足したのか、体を起こしたジョセフは底の知れない笑みを浮かべていた。
「っ、なに、して……」
「よくできましたァ。シーザーちゃん、今の、なんのお薬かわかるゥ?」
ふざけた口調で言われるが、シーザーに見当がつくはずもない。沈黙に彼女の意を読んだジョセフは見せつけるように空の瓶を振り、「一発で妊娠できるお薬」と笑った。
「え、は……?」
「排卵誘発剤だっけ? 飲んでから中出しされると確実に孕んじゃうお薬。合法じゃねえけど、その分強力なんだってよ」
そう言ったジョセフの顔はどう見ても悪い男だった。言われた言葉に表情をひきつらせるシーザーの体は、彼が嘘をついていないことを示すかのように不穏な熱が灯る。触れられてもいないのに体の中心がうずく気がしてシーザーは恐怖に震えた。
「うそだっ、そんな、あるわけ……」
「往生際悪ィなあ。リサリサがこれで子作りしろって渡した薬だぜ、お墨付きだっての」
逃げ出そうとした体はジョセフの腕一本で押さえつけられ、シーザーの顔には絶望が貼りつく。修行を共にした師と弟弟子に望まぬ妊娠を強要され、彼女の視界は暗く狭まった。
呼吸を乱し、震える体では抵抗できるはずがない。ボトムの前を寛げたジョセフが砲身をシーザーの秘所に押し当て、その感触に知らず足が震えた。
「いやだ、やだ、ジョジョ、頼む、やだ、やめ……」
「挿れるぜ」
「やめ、いや…………んあぁぁっ!」
懇願するシーザーに構わずジョセフは腰を進めた。たっぷりと濡れたそこは、彼女の意思とは裏腹にもたらされる刺激を喜んで迎え入れる。限界まで足を開かされ、体内を侵す熱にシーザーの頭がかくりと落ちた。
「キッツ……は、ぬるぬるですげー気持ちいい」
「あぅ、やぁっ……ひ、うぁ」
「痛く……はなさそうだな。血出てねえし。非童貞だから非処女なのかねぇ」
勝手なことを言いながらジョセフはシーザーの腰を抱え、結合をいっそう深くする。彼が見る通り、挿入の衝撃に耐えるシーザーに痛みはない。代わりに、指とは比較にならない異物感と圧迫感に喉が引きつれた。
潤った隘路に楔を突き立て、引き抜く動きのたびにジョセフはうっとりと息を漏らす。不意に腰を強く引きつけられ、彼の身じろぎすら全身で追いかけていたシーザーは体を走る電撃のような痺れに喘いだ。
「ぅあっ……? あ、や、奥、当たって……」
「わかるゥ? おれのと、シーザーちゃんの大事なところが一番奥でキスしてんの」
言ってジョセフは彼女の白い腹を撫でる。ここまで入ってるんだぜ、と耳元で囁かれてシーザーは自分の体がどうしようもなく反応するのを認めた。彼の太い性器を最後までシーザーの体に押し込むと先端が最奥の壁をノックする。未知の感覚に体を震わせるシーザーは、それがまぎれもなく快感であることに恐怖した。
「あー、すげ、いい……すぐイっちゃいそ」
「んぁっ、やだ、ひああ!」
深いストロークで一番奥までえぐられ、シーザーの目からはぼろぼろと涙がこぼれた。彼女の内壁は別の生き物のようにうねり、抜き差しを繰り返すジョセフの熱にすがるようにからみつく。密着したそこは彼の性器が脈打つさますら正確に伝えてシーザーの意識を奪っていった。
「イくときは、中に出すからな……?」
「ひぅ、やだ……中、だめぇっ」
唇が触れそうな距離で囁かれてシーザーは悲鳴を上げた。中に出す、という言葉の意味を正確に読み取り、一瞬浮かんだ想像だけできゅうと締めつけてしまう。妊娠など決して望んでいないはずなのに、彼女の意思と裏腹に期待する体は薬の影響下にあるに違いなかった。
「ふーん、中出し嫌なんだ」
「あ、たりまえ、だ……っ、んぁ!」
「じゃ、こうしよっか」
何事か考えるように呟いたジョセフはシーザーの腰を抱え直し、抱き上げるようにして身を起こす。突然の浮遊感に目を開いたシーザーは挿入の角度が変わって高い悲鳴を漏らした。正常位から対面座位の格好で抱き込まれ、彼女の膝はがくがくと揺れる。向きあうと互いの体格差がはっきりわかり、シーザーは彼女の体を受け止めるたくましい胸板に動悸が速くなったような気がした。
「ぁ、ジョジョ、なに……」
「中に出されるの、嫌なんだろ?」
性別の差が生まれ、二人の身長は30cmほども違うだろうか。彼の膝の上に抱えられているとはいえ、ジョセフの目を見ようと思えばシーザーは見上げるしかなかった。ジョセフの行動に疑問を上げれば、腰を支えた手が下りて彼女のヒップにすべる。尻肉をぐにと揉まれ、こすれた肌に水音が立った。その感覚にすら肩を跳ねさせるシーザーにジョセフは口角を上げ、彼女の耳元でささやく。
「ほら、抜いていいぜ」
「……ふ、ぁ?」
「この体勢ならシーザーも動けるだろ? 抜いてほしいなら自分で腰上げろよ」
気の抜けた声を上げるシーザーに構わず、ジョセフはその両手を広げて自分が動く気はないことを言外に伝える。与えられる刺激にただ耐えていたシーザーは突然放り出されて一瞬言葉を失った。溶けかけた頭にゆっくりと彼の言葉がしみて、まるで試されているように感じ思わず唇を噛む。できるものならやってみろ、と言われた気がして負けず嫌いのシーザーに火がついた。
体重を支えるためにジョセフの広い肩に手を置き、震える膝をなんとかシーツに立てた。まるで彼にすがっているような格好に妙な羞恥が生まれるがなりふりは構っていられない。深く息をつきながら手と足に力をこめ、わずかに腰を上げる。当然ながら体内に埋まったままのジョセフの性器と粘膜がこすれ、力が抜けそうになるのを無理にこらえた。
彼は見下ろした格好でニヤニヤ笑うだけで、腰を上げるにつれ結合部があらわになり、露骨な光景に体が熱くなる。早く抜いてしまえ、と力の入らない体を叱咤して一気に腰を持ち上げた瞬間、体を貫く性感に悲鳴を上げてシーザーは沈んだ。砕けた腰は彼女の体重を支えられず、重力に従って落ちた体はそのままジョセフの性器に串刺しにされて痙攣する。先ほどよりも深く挿入されて強い快感に喘いだのはシーザーだけではなかった。
「っ、ハ……ちょっと、抜きたいんじゃなかったのォ、これじゃさっきと変わんねえぜ」
「う、るさい……! お前は黙ってろ……ッ」
彼の性器をくわえたまま腰を上げればそれは先ほどまで抱かれていたときと同じ動きであって、すっかり敏感になったシーザーの体はゆるやかな刺激でも反応する。それでも、彼の手から逃れるためには今このチャンスしか見いだせず、シーザーは再びゆるゆると腰を持ち上げた。
彼の性器が内壁をこすりながら出て行く感触がはっきりわかる。息を詰めながら半ばほどまで抜いたシーザーは、腰のラインを確かめるようになぞるジョセフの手に呼吸を乱した。
「ひ、あぅ……ジョジョ、っ、何して」
「ン〜? なにもしてねえだろ、抜きたいなら早くしろって」
そう言ったジョセフは彼女のなめらかな腰に手をすべらせ、わき腹や太ももも撫でていく。からかうような動きに歯噛みしたシーザーは、次の瞬間に胸の粒をつままれて大きく背を反らした。
「んぁっ! やめ、触んな……ッ」
「こんなビンビンにして、触ってほしいんじゃねえの?」
「ひぅ、や……んぅ!」
胸を好きに弄ばれ、感じる快感に震えるシーザーの腰はずるずると下がってジョセフの腹の上にぴたりと尻をつく。早く抜いてしまいたいと思うのに叶わず、半端に抜き差しを繰り返す姿は滑稽だと思った。彼の熱に触れる内側がひくひくと収縮を繰り返すのがわかる。もう一度腰を揺らしたシーザーは、その動きが解放を願うためではなく快感を追いかけるためのものに変わりつつあることを自覚した。
「ぁふ、ジョジョぉ……」
「シーザーちゃん、腰揺れてるけど。抜きたいんじゃなかったわけェ?」
「おまえの、ン、せいだ……っ、変なもの、飲ませ、るから……体、じんじんして」
「ああ、あれ? あの薬のせいでうずいちゃうんだ」
ふうん、と頷いたジョセフはニヤリと笑って、「じゃあ好きに腰動かしてみろよ」と言った。一瞬思考が追いつかないシーザーはぽかんと見上げるばかりで、その金色の髪を梳きながら彼は「薬のせいでおかしくなってんだろ、それじゃ仕方ないよな」と言い聞かせるように口にする。そのささやきは甘美な響きでシーザーを誘惑した。
こんなに体が熱くなっているのは薬のせいなのだから、彼女が乱れるのも自身の意思ではない。免罪符を手に入れたシーザーはその瞳をとろりと熱に溶かし、おずおずと腰を揺らす。濡れそぼったそこがぐちゅりと音を立てるのすら彼女を高ぶらせるスパイスとなった。自らの意志で腰を振るシーザーにジョセフの目が細められる。
「、ふ……遠慮するなよ、もっと腰振れって」
「そ……んなこと、言っ、ても……んく、ジョジョの……おっきくて、こすれ……ひっ」
先ほどから刺激を与えられっぱなしのシーザーの体はどこもかしこも力が抜けてしまって、思い通りに体を揺らすこともできない。震える膝で無理に体重を支えていたシーザーは不意に下から突き上げられて悲鳴を漏らした。
「ひあぁっ! や、激し……」
「手伝ってやってる、んだから、感謝しろよ?」
ジョセフの勝手な言い草になんてやつだ、と理不尽な思いを抱くが、好きに貪られてシーザーはもう意味のある言葉を吐き出すこともできなかった。彼の肩について体を支えていたはずの両腕はいつのまにかジョセフの首に回っている。揺さぶられるたびに力がこもって、まるで抱きあう恋人のようだとどこか冷静に考えた思考はすぐに快感に塗りつぶされた。
「あ、んぅ! も、ゆっくり……!」
「は……シーザーちゃん、自分で腰振ってるの気づいてないの?」
「ふ、ぅあ……そんなわけ、ひんっ」
言われてシーザーは深い律動はジョセフにもたらされるだけでなく、彼女自身も浅ましく腰を揺らしていることに気づいた。否定したくとも、ジョセフが揺さぶるのをやめても粘ついた水音は途切れることなく部屋を埋める。シーザーが求めなければ生まれないその音は、彼女がこの行為を望んでいることを何よりも示していた。
「や……こんな、おかし……うぁっ!」
「まだ素直になれないわけェ? じゃァ、意地っ張りなシーザーちゃんにいいこと教えてやるよ」
快感に揺れるシーザーの顎をとらえ、ジョセフは視線を合わせてニヤリと笑った。彼の瞳を見つめてきゅうと心臓が高鳴り、シーザーは覚えのない感覚に一瞬眉をひそめる。そんな彼女には構わず、ジョセフは一度あらぬ方を見やってから口を開いた。
「シーザーちゃんに飲ませたお薬だけどよ」
「……?」
「あれ、嘘なんだよねン」
「…………え?」
呆けたような声を漏らしてシーザーは凍りつくしかなかった。嘘、とはどういうことだろうか。落ちた言葉にシーザーの脳は一瞬に混乱する。彼女の思考が結論に至るよりも早く、ニヤニヤ笑いを隠さないままのジョセフがそろりと腰を撫でて言った。
「あの瓶に入ってたのは薬なんかじゃねえの、ちょっと味のついたただの水。だからシーザーが自分で腰振ってたのも薬のせいなんかじゃなくて、おめーが淫乱だからだよ」
「……ぁ……ぅ、違……」
「違わないっての。淫乱シーザーちゃん、おれので中えぐられたくて腰振ってたんでしょ?」
「ちが、違うっ!」
「こんなに濡らして、愛液垂れてんじゃん」
言いながらジョセフを飲み込むところに触れられ、その刺激にすら感じきってシーザーは白い喉を晒した。つきつけられた真相に彼女の目は大きく開き、その指先は小刻みに震えている。自分の体の浅ましさを最悪の形で知ったシーザーは目に涙の膜を浮かべた。
絶望そのものといった表情で言葉をなくす彼女にジョセフは苦笑し、止めていた律動を再開させる。一番奥まで受け入れさせられてシーザーの唇から嬌声が漏れた。
「ひぁん! やだ、も、こんな……やめ、んぅっ」
「いいじゃん、嫌がんなよ。自分で腰振るくらい気持ちいいんだろ?」
「ひ、やめ、やぁっ! おかし……ぅ、ああっ!」
「……あーもーうるせえな、何が嫌なんだよ」
「ぁふ、こんな、ぁ……や、こんなの、お前に嫌われ、る……」
「……あのな、おめー、ほんっとわかってねえな」
ぼろぼろと泣きだしてしまったシーザーを抱き寄せ、ジョセフは赤くなったその眦に唇を寄せる。肌が密着して胸に僅かな刺激が与えられ、それにも身をすくませる彼女の背を撫でながら甘い声でささやいた。
「淫乱なシーザーちゃんも好きだぜ? 素直になれよ、その方がかわいいから」
「……ジョジョ、今、なんて」
涙に濡れた目を瞠ってシーザーは問い返す。彼の顔を見たいと思うのに、抱き寄せる力が強くて叶いそうになかった。代わりにジョセフの心臓の音を聞きながら落ちる言葉に耳を澄ます。「おれ、リサリサに言われたからって好きでもない女抱けるような男じゃねえんだけど」と不満そうな声に、なんてまわりくどい告白だと呆れにも似た感情を抱いた。合わせた肌から伝わる彼の鼓動は、彼女と同じくらい速く脈打っている。
彼の言葉には何も答えず、シーザーは黙って腰を揺らした。驚いたように顔を覗きこむジョセフにニヤリと笑ってみせて、もう一度見せつけるように腰を使う。実際、なぶられつづけた彼女の体は体重もうまく支えられなかったが、それでも挑発してみせるのはほとんど意地だった。
「ン、ぅ……淫乱でも、好き、……なんだろ?」
「……クソ、もう手加減してやんねえからな!」
水分を浮かべたままささやいた言葉は爆弾として彼に届いたようで、宣言通りぐちゃぐちゃに揺さぶられてシーザーはひたすらに喘いだ。いいように突き上げられながら指先で胸の粒を弄ばれてすすり泣きのような声が出る。細い喉に歯を立てられながら彼女の腕はジョセフの背をきつく抱きしめた。
「は……シーザー、もうやべえ、かも」
「んぁ、やだ、や、らめ……」
限界が近いことを訴えるジョセフにシーザーはいやいやとかぶりを振るばかりで、途端に彼の視線の温度が下がる。顔をそらそうとする彼女の顎がとらえられ無理矢理に向き合わされた。至近距離で問いかける間もあふれる水音は止むことがなく、シーザーの熱を上げていく。瞼を上げた彼女の瞳は欲の色にとろけていた。
「何が嫌なわけ? 抜いてほしい?」
「はひ、や、抜いちゃやだ……ジョジョの子ども、ほし、ぁん!」
彼女が答えると同時に体の中でジョセフの大きさが増して、その刺激にも身をよじった。素直に胸の内を口にするシーザーに彼は「かーわいい」と呟いてその結合を深くする。奥まで穿たれてつま先をそらせるシーザーに構わず、そのままがつがつと突き上げた。
「中に出す、からなっ……ほら、しっかり孕めよっ!」
「ひ、ぅああっ!」
体の内にあふれる熱にシーザーは悲鳴を上げた。密着した内壁は彼の性器が脈打つその回数も数えられそうなほどで、彼女は途切れ途切れの意識であの薬が本物だったらな、とぼんやり考える。そして本当に彼の子どもを宿せたらいいのにと思うシーザーの意識は白く塗りつぶされた。
★☆★☆★
体を揺さぶられてシーザーは跳ね起きた。
ベッドに横たわっていた体はびっしょりと汗で濡れていて、左胸に手を当てれば心臓が驚くほど速く脈打っている。その手に感じる固い感触にシーザーは思わず自分の体を見下ろした。
視界に映る手も足も胸も記憶にあるとおりで、つまり見知った男の体である。一瞬前まで見ていた世界とあまりにも違う景色に彼の脳は混乱をきたした。そこに「おい、まだ寝てんの?」と声をかけられて弾かれたようにそちらを見やる。ベッドサイドに立っているのは呼吸矯正マスクをつけたジョセフで、彼の姿をみとめた途端に女として抱かれた感触が蘇り息が詰まった。
「……もしもォーし? おい、大丈夫かよ」
「……あ、ああ……大丈夫だ、変な夢を見ていたらしい」
心配そうに身を乗り出すジョセフから微妙に目を逸らしながら、シーザーは何気なさを装って答える。そうだ、女の体になっていたことも、ジョセフにいいように喘がされたこともすべて夢だ。時計を見やればそろそろ夕食という時間で、そういえば修行を終えて食事までの間仮眠を取ろうと横になったのだった。連続した記憶を取り戻しシーザーは安堵に息をついた。
目が覚めた今となっては突拍子もない夢の内容に笑いが出るが、その中で抱き合っていた相手であるジョセフを目の前にしては平静でいられない。妙に速くなる鼓動を押さえつけて「すぐ追いつくから、先に食堂に行っておいてくれ」と言う。軽く受けあったジョセフは彼の部屋を出ようとして一度振り返り、「汗すごいけど、おめーどんな夢見てたわけ」と聞いてきた。
「……お前には関係ないことだろう。早く行け」
「えー、隠すなよ。なんかヤラシー夢だったんじゃないのォ」
「っ、そんなわけあるか」
お前に抱かれるいやらしい夢を見ていた、とは言えるはずもなく動揺を押し殺して答える。「まあ別にいいけどよ」とひらひらと手を振りながらジョセフは部屋を出ていった。
扉が閉まるのを見届けたシーザーはベッドに腰掛けて深く息を吐いた。夢は深層心理の発現というが、まったくのでたらめに違いない。自分に女性になりたい願望、ましてやジョセフに抱かれたい願望などあるわけもない。妙な夢を追い出したくて頭を振った。
目が覚めてみれば、あんな無茶苦茶な夢にジョセフを出演させてしまったことに申し訳なさばかりが募る。できることなら誰にも会わずにまた眠ってしまいたかったが、食堂で待っているジョセフを思うとそんなわけにもいかない。本当に、なぜあんな夢を、と首をひねりながらシーザーは立ち上がる。彼に人の夢を覗き見るような超能力がないことにシーザーは感謝した。
……そういえば、先ほど見えたジョセフの手にはなにか絡みついていたような。まるで、紫の茨のようなものが。見間違いかと簡単に片付けるシーザーは、のちにジョセフが発現させるスタンド能力について知らなかった。